ワタミ株式会社 執行役員 SDGs推進部長 百瀬典子様

サスティナブルな地球のために、命を学ぶ場をつくろうとワタミは考えています

現在SDGs推進本部長を務められているワタミに入られたのもその頃ですか?

はい、ちょうどその頃に未だ議員でいらした渡邉代表とお会いして、たまたま私がSDGsのバッジを着けていたのを見つけて、「それは何?」といわれて。「SDGsです」と、持っていた資料をお見せして説明したら、「これ、ワタミでやるから、あなた来てやらない?」と言われました。そして2019年の4月1日からワタミSDGs担当顧問に就き、2030年のワタミを創造するために一緒にディスカッションしたり、環境問題について相談に乗ったりしていたのですが、2020年に執行役員にといわれて今に至っています。

ワタミは以前より社会貢献活動に積極的だったのでしょうか?

「地球上で一番たくさんのありがとうを集める」というスローガンがワタミという企業の存在意義であり、以前から障がい者施設や高齢者へのボランティア活動やチャリティ活動は活発でした。特に「宅食事業」では、毎日25万人の高齢者にお弁当をお届けし、その際に「お元気かどうかの見守り」を行っていて、年間何十人もの命を救っています。
そうした背景で、東日本大震災が起きたときに陸前高田市長から、渡邉代表にが「復興にために何か手伝ってくれないか」と頼まれて「わかった。力になろう」と快諾したのです。従業員みんなでまずは、災害ボランティアに何十人と現地に行って、得意の炊き出しをやりながら、どんなことを手伝ったらいいかを考えたのですね。そして、陸前高田市にワタミの宅食の受付コールセンターをつくろうということになりました。結果100人単位の雇用が生まれ、全国からかかってくる電話を受ける業務を開始しました。

震災からの復興にいち早く協力したということですね。

はい、陸前高田ではそればかりでなく、現在進行中のプロジェクト「ワタミオーガニックランド」があります。それは「命を育み、命を学ぶ農業と食のテーマパーク」です。陸前高田市の以前街だった場所が全部壊滅状態になってしまって、そこに7、8メートル盛り土をした、何もないところなので、そこで有機農業を行い、更に食や音楽でたくさんの人たちに集ってもらえる場所を作り、復興支援をすることにしたのです。 ワタミは、もともと有機農業を全国で展開してきましたが、陸前高田の盛土した土地のは近隣の山から運んだ土壌なので、そのままでは栄養が不足して農地には適していません。今は土壌の再生中で、作物ができるようになるまであと3年ぐらいかかります。でも、夢は大きく、ここを全部農地にして、野外音楽堂もつくって、中学生や高校生たちに全国から修学旅行に来てほしい。そして、命があふれる農場での農業体験と同時に、「震災遺構」の記念館を見てもらい、命の大切さをを学んでもらおうと考えているんです。
渡邉代表は、「これからサスティナブルな地球にしていかなければいけない。ここで子どもたちは自然を学ぶし、大人たちはその子どもたちの命に対して責任を持つべきだろうとおっしゃっています。将来的にはここにオーガニックの農場や牧場を作ってそこからできるお肉でハムをつくったり、収穫したブドウでワイン、缶詰などをつくったり、そしてここでそれらを食べてもらう、1次産業、2次産業、3次産業がかなうような場所づくりをしたいと。オーガニックランドは2040年完成予定なので、まだまだ道のりはあります。

ワタミ株式会社 執行役員 SDGs推進部長 百瀬典子様

関わった人の役に立つ、喜んでもらえる活動がワタミのSDGsなんです

陸前高田での活動はSDGsを積極的にやろうという方針の一環ですね。

そうです、一環です。ただ、ワタミの場合は「世の中がSDGsに注目しているから何か取り組もう」ではなく、ワタミの進める1次産業、2次産業、3次産業が抱えている環境や社会貢献の問題にまず取り組んでみようというという考えで、ずっと継続してきたことです。

やっていたことが、SDGsだったということですね。他にも以前からの取り組みがありますでしょうか?

ワタミ宅食25万食のお弁当の容器はは、もともとはリターナブルといって、「お弁当箱を回収して、洗って、もう一回使う」という形だったのですが、お弁当箱そのものを、何度も使い回すことに対しての衛生上の問題や万が一感染症などの恐れがあったらまずいということで、毎回新しい容器に入れて持っていくことになったのですが、「それって使い捨てということでしょ」、という話になって、「じゃあ全部回収しよう」と回収リサイクルすることにしましたもともと使用済みのお弁当箱を回収して洗っていたんだから、「回収して、リサイクルして、またお弁当箱の原料にするならいいんじゃないの?」 と始めました。弁当メーカーが自ら容器回収してリサイクルする。これも、たぶん世界で唯一だと思います。「容器を全部回収して、全部リサイクルしてしまう」というのは。今はまだ回収率が全社で60%ぐらいですけが、多いところは80%以上です。お客様が返してくださって、初めて成り立つシステムです。SDGs17、パートナーシップですね。

それは、各ご家庭が協力してくれるのですね。

そうです。だから、お弁当の配達時に前日の分の容器を返却してもらい、それを日本製鉄でケミカルリサイクルで弁当容器製造に使うプラスチックに再生して、それを原料にしてまた弁当容器をつくるという仕組みです。宅食のお弁当は、高齢者で買い物にも行けないし、ご飯もなかなか作れないし、コンビニで買ってくると食事が偏っちゃうしという人に、「ちゃんと栄養士がメニューをつくって、これを食べていれば、1日の栄養のある程度は大丈夫です。プラス、毎日持っていって安否確認します」というシステムです。だから、ただお弁当容器のリサイクルで環境にいい、だけではなくて、そこにずっと住み続けたい高齢の方に、「困っていることは地域が手伝ってあげる、そしてワタミは毎日の食事をお手伝いします。」という取り組みです。これがワタミが地域と一緒に進めるSDGsです。」ただ単に、容器包装のリサイクルだけだったら、それは昔からある環境活動であり、循環型社会構築という取り組みですよね。
企業としてごみを出さないとか、CO2を削減するというような責任はもちろん大事なことですが、それよりも、誰のため? といったとき、お客さまのためです、地域の人のためです、従業員のためですという「誰かのために」というのが、たぶんSDGsの一番大事なことなのだと思います。「誰ひとり取り残さない」ということは、ひとりの人が全世界の人に関わるのは無理なので、「じゃあ、お仕事を通してとか、商品を通してとか、地域を通して関わった人に役に立つような、喜んでもらえる」というような、仕事や活動が大事なんじゃないかというのが、ワタミのSDGsなんです。

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